摂食障害と蘭 Eating Disorder Ran

[書評・評論]「精神病とモザイク タブーの世界にカメラを向ける」想田和弘 著

摂食障害に関する書籍や映画などの書評・評論をむちむちさんに書いていただいてます。書評・評論一覧はコチラから(時系列順)

書評

映像作家・想田和弘
最近さっぱり映画分野に疎くなってしまったので、一般的な知名度がよくわからないですが、皆さんは想田和弘さんという方をご存知でしょうか。

「選挙」「精神」「Peace」「演劇」などのドキュメンタリー映画を撮る映像作家さんですが、最近は民主主義や反原発といったテーマの書き物も多くあり、そちらのほうの発言を積極的にしている人ってイメージが強いのかもしれません。
海外の映画祭での受賞歴が多く、映像作品は日本にとどまらず国際的に評価されています。
最初の出会いは多分もう10年近く前、映画雑誌「キネマ旬報」に「精神」の紹介記事が載っているのを読みました。岡山県にある精神クリニックに通う人たちをありのままに追った、というテーマからとても興味深かったのですが、既に地方都市に帰省していたので東京の映画館と公開時期が違ったこともあり、映画は見そびれてしまった。その後も自分の不調もあり結局今でも彼の映像作品を何一つ観れていないのですが(ごめんなさい)、最近この映画に関連する文献「精神病とモザイク タブーの世界にカメラを向ける」(中央法規出版、2009年)を読んでめちゃくちゃ面白かったので、他の映像作品に関する文献も一気読みしました。

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「なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか 」講談社現代新書、2011年

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「演劇vs.映画 ドキュメンタリーは『虚構』を映せるか 」岩波書店、2012年

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「熱狂なきファシズム 」河出書房新社、2014年

9784309246703

「カメラを持て、町へ出よう 『観察映画』論」集英社インターナショナル、2015年

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あと、今年出版された「観察する男」(ミシマ社)を今読み途中ですが、期待を裏切らない面白さ。

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すでに読んだ5冊と重複する部分もあるけど、何度読んでもふむふむ、なるほど、そうか!へえ〜っと、再発見、気づき、納得がたくさんあります。

ドキュメンタリー、ノンフィクションを撮るための指南書っぽいものもありますが、私のように別に映画を撮るつもりもない人間が読んでもとっても面白かったんです。それはなぜか?彼が映像を通して世の中の人たちをフラットに「観察」するなかで見えてくること、感じたもの、そこから学ぶこと、などから、私にも得るものがいっぱいあったんです。
「選挙」でいきなり市議会選挙に出馬することになった元コイン商の山さん、「精神」で病院を訪れる精神疾患に悩む人たち、「演劇」で独特の指導法に則って劇団を運営する平田オリザ氏…ちょっと個性の強い人たちだけれど、何かしら訴えかけてくるものがある。何故か気になって惹きつけられてしまう。そしてどの作品でも、主人公的な人物だけでなく、その周りの、何らかの関わりを持つひとたちを(時には持たないひとも)映し出すことで、重層的な幅広さを生み出してゆく…特に「精神」では、敢えて「精神病患者」などとカテゴライズせず、説明的な字幕もナレーションも一切なく、医者・患者・その家族を同じ目線で捉えているから、観る側の人間の素直な感じ方が尊重される。そもそも、映し出されている人たちの個々人の存在を尊重されている想田氏のスタンスが明確だったからこそ、難しい精神医療のテーマでも、彼らの生き様がモザイクなしでもここまで晒せたのだと思います。

うーん、映画を観てないのに分かったかのようにこれ書いてる自分も変な感じですが、さすが東大出身というか、文章がとっても分かりやすくて読みごこちがいいんです。聡明な人は他人に説明する能力も高いのだなー。

これらの本を読んで映画を観たくならない人がいるのだろうか、いや、いまい。その前にお前が一本でも観ろよ!と自分につっこんでるむちむちなのでした。もしご覧になった方がいたら、是非是非ご感想を伺ってみたいです。

執筆者

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名前:むちむち
年齢:1979年生まれ
性別:女

16歳頃から過食が始まりました。ずっと吐かない過食でしたが、2011年の暮れ頃に吐くことを覚えてしまい、そこからは毎日過食嘔吐。ひどい時は一日4〜5回食べ吐きを繰り返していましたが、現在は一日一度に落ち着いています。
私はダイエットがきっかけではなく、幼少時に受けた性虐待などが原因だと今のところ診断されています。摂食障害の他にもPTSD、うつ病、解離性障害、身体表現性障害、衝動制御障害など…色んな診断名がつけられてきました。過食が始まった頃から精神的にも不安定になり、自殺未遂を繰り返した時期もありましたが、今は短時間ながら働けるところまで快復しました。
本の虫で、とにかく数だけは読んでいるので、主に摂食障害に関する本の感想などを書くことなんかで皆さんとつながっていきたいなと思っています。よろしくお願いします!詳しくはコチラ

リクエスト本

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最後に

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はじめまして。蘭と言います。

1983年生まれ、現在は旦那さんと娘と息子の4人家族で神戸に住んでいます。

その前までは、5年の過食嘔吐、嘔吐を辞めて完治するまで9年。全部で14年かけて摂食障害を克服しました。

おこがましいですが、その経験を活かし、渦中にいる方のお手伝いを旦那さんと2人でしています。

お手伝いと言っても、専門家や医師ではないので、カウンセリングや、診察など出来ませんが、その他の方法でいろいろやっています。つづきを読む。


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