摂食障害と蘭 Eating Disorder Ran

[書評・評論]「性暴力被害支援センター開設に向けて」

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性暴力被害支援センター開設に向けて

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蘭ちゃんご夫婦が実施されている摂食障害アンケートにも書いていますが、私は小学校一年の時の担任教師から性暴力被害を受けました。痴漢やレイプみたいな一回きりの被害ではなく、数年に渡って被害を受け続け、またそのことを長い間誰にも言えなかったため、成長してから摂食障害をはじめ色んな症状が出て今でもそれらの「後遺症」に苦しんでいます。

今回、来年頭から名古屋にも性暴力被害を受けた人たちのためのワンストップ支援センター「なごみ」が第二赤十字病院内に開設されるということで、講演会に行ってきました。300人収容の大ホール貸切でしたが、参加人数は40人程度。殆どが支援活動に関わっていると思われる年配女性でした。やはり一般の人には関心が薄いのかな。

パネリストは性暴力被害者支援看護職「SANEセイン」の育成も行っている、カウンセラーであり日本福祉大学教授の女性、第二赤十字病院副院長の女性、5年前に大阪の病院に開設された性暴力被害者支援センター「サチコ」代表の産婦人科医の女性、そして強姦被害にあいながらも歌手活動を通じて自身の被害経験を社会に訴えかける30代の女性がパネリストとして貴重なお話を聞くことができました。

サチコでの実例報告は、やはり被害直後に対応できる具体例が多かったので、質疑応答の時間に急性期をすぎた被害者はどのように利用できるのかを伺いました。サチコ代表の方が話してくださったのが、
自分のところにも被害を受けて20年以上すぎた女性がきたことがある。その時は法的にもできることは何もなかったけれども、個人的に自分が相手加害者に会いに行ったら「悪いことをした」ということで個人の意思で慰謝料を被害者に払われるということがあった。もちろんお金で解決できる問題ではないが、お金を払ったということは自分が悪いことをしたということをはっきり認めたからであり、被害女性にはこれを一つの区切りとして、今後被害経験を抱えながらも折り合いをつけながら生きるきっかけにはなったと思います、というような話をしていただきました。こんなに具体的な実例を、実際にその場に居合わせた現職の方からまっすぐ目を向けてお話を聞くことができ、本当に貴重な機会でした。他のパネリストの方も私の質問に真摯に答えてくださり感激しました。

どの方のお話も、それぞれの立場から、貴重な経験を通して聞けるお話で、本当に内容の濃い、有意義な講演会でした。私なりに性暴力被害についても本を読んだりして知識をいれているつもりだったけれど、SANE、セインという専門の看護職があるということも今回初めて知ったし、既に5年の実経験を積んでいるサチコからのご報告は特に参考になったというか、実際に開設した意義の大きさと現在の政治経済事情でできる限界も感じさせられました。
ストーカーとかDVはそれぞれストーカー規制法、DV防止法という法律がすでに確立されているので、警察などもそれに沿って動くことができる。でもそういった範疇外の被害については確立された対策や法律がまだないから、予算もつかないし警察も動いてくれない、法律にも守られない。
今回の「なごみ」も、一年目はモデル事業ということで予算がそれなりについたそうですが、二年目からはまだ何も保証がないそうです。だから病院内ではただでさえ予算や人手に余裕のないなか、財政的にも人材的にも大丈夫なのかという反対の声もあったそうです。5年の実績を持つサチコでさえ、現在もなお募金にかなりの経済的依存をせざるを得ず、経営的には決して楽ではないそうで、被害者の方にも医療費その他を請求せざるを得ないのが実情だとか。実際に妊娠してしまっていたり性感染症などにかかっていた場合など、更にお金がかかりますよね。でも予算がない、法律がないから、自腹を切ってそれらの負担も負わなければならない被害者の立場を考えると、国家政策としてこれら被害者を支援してくれる政策が早く進んで欲しいと思います。
被害者に多いと思われる複雑性PTSDの症状なども、まだ認知度も社会の理解度も低く、私も職場で見た目にはわからない「病気」なので、もちろんいちいち説明できない原因だし、社会からのけ者にされているような疎外感、孤独感を感じて生活しています。まず自身の体験を話せる場がない。被害を受けた苦しみや生き辛さを共有できる人も場所もないのです。摂食障害にナバなどの自助グループがあるように、性被害を受けた人たちの集まりや話ができる場所が増えていくといいなと思います。実際に行かなくても、世間にはそういう場所があるんだと思えるだけで少し楽になる気がします。今回開設される「なごみ」も、利用者がいないのが一番ですが、いざとなればそういう場所があるんだと心強く思える存在、というだけでも大きな意味があると思います。

講演会に行ったこと、貴重な話を聞けたこと、そしてこうして発信できる場があることは私にとってとても有難く意味のあることです。でも、どうしても心が揺らいでしまう。いつもは書評を書いたあとそれなりに推敲したりするのですが今回は余裕がなく、でも綺麗にまとめようとしているといつまでたっても完成しないと思ったので、心が折れる前に一気に書いてほとんど読み直さず発信します。ですから文の乱れや言葉の細かい誤りはご容赦ください。

摂食障害と直接つながらない内容になってしまいましたが、どうしてもこの場でも発信したい内容でした。関係ない方達にも、今後家族や知り合いにそういう被害者があらわれたら、とか少し発想をもってこの問題について考えてもらえたら幸いです。

執筆者

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名前:むちむち
年齢:1979年生まれ
性別:女

16歳頃から過食が始まりました。ずっと吐かない過食でしたが、2011年の暮れ頃に吐くことを覚えてしまい、そこからは毎日過食嘔吐。ひどい時は一日4〜5回食べ吐きを繰り返していましたが、現在は一日一度に落ち着いています。
私はダイエットがきっかけではなく、幼少時に受けた性虐待などが原因だと今のところ診断されています。摂食障害の他にもPTSD、うつ病、解離性障害、身体表現性障害、衝動制御障害など…色んな診断名がつけられてきました。過食が始まった頃から精神的にも不安定になり、自殺未遂を繰り返した時期もありましたが、今は短時間ながら働けるところまで快復しました。
本の虫で、とにかく数だけは読んでいるので、主に摂食障害に関する本の感想などを書くことなんかで皆さんとつながっていきたいなと思っています。よろしくお願いします!詳しくはコチラ

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最後に

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はじめまして。蘭と言います。1983年生まれ、現在は旦那さんと娘と息子の4人家族で神戸に住んでいます。その前までは、5年の過食嘔吐、嘔吐を辞めて完治するまで9年。全部で14年かけて摂食障害を克服しました。このサイトでは、皆の摂食障害体験を共有するアンケート、摂食障害経験者によるコラム、自由に書き込める摂食障害のための掲示板を管理しています。