摂食障害と蘭 Eating Disorder Ran

[書評・評論]「こころの免疫学 」藤田 紘一郎(著)

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 テレビ放送

NHK10月5日放送

クローズアップ現代   ニッポンの女性は“やせすぎ”!? ~“健康で美しい”そのコツは~

少し日にちが経ってしまいましたが、今月はじめにテレビ放送された番組です。NHKのサイトで拾った番組紹介文を以下に載せてみます。

今、日本人女性の8人に1人は “やせすぎ”ており、その割合は戦後最多を記録。中でも20代女性の平均摂取カロリーは食糧難だった終戦直後を下回る1628kcalで、世界的にも異例の低水準にあることが国の調査で判明した。

なぜ飽食の時代に日本女性はやせるのか。やせ女性の全国実態調査に乗り出した民間団体によると、その背景には、生活スタイル変化の中での「長時間労働」や「孤食」があるという。さらに本来は男性市場をターゲットにしたメタボ予防商品が忙しい女性に売り上げを伸ばし、結果的に「やせ」を促進していることなどが見えてきた。

女性のやせすぎは低体重児の出産や不妊などの医学的な危険性が指摘されており、将来的には要介護者の増加など社会的コスト増になることが懸念されている。

メタボ対策に比較して軽視されてきたやせすぎ対策だが、やせすぎたモデルの起用制限などの動きが世界的に広がりつつある。「やせすぎ大国」日本の現状と、その根本対策に迫る。

ニッポンの女性は“やせすぎ”!? ~“健康で美しい”そのコツは~ – NHK クローズアップ現代

この番組では、痩せにこだわるあまり摂食障害になってしまう危険性にも言及されていましたが、それ以外の痩せが引き起こす悪影響についていろいろ語られていました。

まずは、本人の健康上の問題。筋肉量が落ちて体力がなくなり、抵抗力や免疫力の低下につながる。すると生活習慣病にもなりやすくなるし、心を病むことにもつながりやすくなる。若い時に痩せた体型だった女性の方が、高齢者になった時に介護保険の利用料が増える傾向がある、とも指摘されていました。

それから、妊娠・出産へのリスク。やせて栄養状態が悪い母親から生まれる子どもは出生時の体重が低くなる傾向があり、低体重児は生まれながらに生活習慣病のリスクを背負う可能性がある。次世代への悪影響も大きく取り上げられていました。

若い女性が痩せたいと思う理由は、一位「容姿」二位「ファッション」三位が「健康」だそうです。今の自分自身のため、容姿を気にして、とか、ファッションのために過度に痩せることがのちのちの自分の健康にも子供の健康にも大変なことになりますよ、という点を強く訴えたかったのだと思います。

実際どこかの中学校でもそういった授業を取り入れていて、若いうちから痩せ過ぎは良くないのだという意識を植え付ける教育政策もなされているようでした。

まあ、良い政策だと思います。でもさー、と私は言いたい。まだまだ日本では痩せていることが美しいみたいな風潮が根強いじゃないか。テレビや雑誌に出てくる女性たちはほんとうに細くて。「ほそーい!」って「きれーい!」と同じような褒め言葉になってないか!?実際洋服店のマネキンも15年前に比べたらかなり細くなっているんだとか。

「痩せ過ぎは危険」と言われる一方で「普通サイズ」の服が小さめに作られている現実にどっちを信じたらいいのか、いや、痩せ過ぎは危険というのを信じればいいのだけれど、現実的には痩せてないと生きづらくないか!?この日本は、っていうところでなんだかむずむずするんです。

最近感じたのが、日本人は太った人に厳しい、ということ。たまたま週刊誌の記事で続けて目にしたのですが、産後メディアに出た女優さんと、最近露出のない元?美人キャスターの近影。(あくまでも以前に比べると)ふっくらした2人の姿を、悪意たっぷりのアングルでの写真と記事で紹介していたんです。

雑誌で署名記事ではなかったので私の勝手な印象ですが、どちらも男性記者が書いたような感じがしました(どちらの雑誌も男性誌寄りのものだったし)。なんていうか、ふっくらした2人の女性に対して、バカにした、というか、からかいのような悪感情がすごーく伝わってきたんですよね。

別に肥満になったわけでもないし、むしろ健康的になったとも取れる二人の体型の変化を、いかにも「産後太り」「油断して太った」、つまり悪いことのように皮肉めいた記事にしている。揶揄された方もたまったものじゃないけれど、これらの記事を読んで面白がる人たちも相当たちが悪いと思います。

そういう土壌があるからこそ記事になってしまうのでしょうが、もうそういうのやめましょうよと私は言いたい。そういうちょっとした社会風潮の積み重ねがわたしたちの意識に植え付けられていっておかしな基準や本来間違った常識がつくられているんだということを、発信側はもっと自覚したうえで書いたり写してほしいと思います。

今の美の基準のタレントさんが今と同じようにメディアに出続ける限り、そしてこういう記事が記事になってしまう限り、今回紹介したような番組でいくら痩せ過ぎに警鐘を鳴らしても焼け石に水じゃん、って冷めた目で見てしまったのでありました。

書評

1

藤田 紘一郎
「こころの免疫学 」
新潮選書

話は変わって、こちらも先週に引き続き蘭ちゃんの旦那さんに紹介していただいた本です。図書館では精神医学の棚においてありました。

現代日本人に増えつつある「こころの病」の原因には、社会的・心理的要因のほかに生物学的な要素もあるのだという観点から書かれた一冊です。摂食障害にダイレクトに結びつくような内容ではなかったので、これだけで一回分書くまでには至らなかったのですが、面白かったー。本文中の「こころの病」「うつ」の部分を摂食障害と置き換えて読んでもおおきな間違いやずれなく読めるとも思います。

糞便量とこころの病に関係性があるなんて、なんて斬新な発想!自殺率の低いメキシコ人の考察の部分などもとても興味深く読みました。

すべての人に絶対効果があるとはいえなくても、薬に頼らずとも、正しい知識を身につけることや日々の食生活に気をつけることで余計な病気や疾患から身を遠ざけることができるという指南書でもあります。ぜひ一読あれ。

リクエスト本

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執筆者

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名前:むちむち
年齢:1979年生まれ
性別:女

16歳頃から過食が始まりました。ずっと吐かない過食でしたが、2011年の暮れ頃に吐くことを覚えてしまい、そこからは毎日過食嘔吐。ひどい時は一日4〜5回食べ吐きを繰り返していましたが、現在は一日一度に落ち着いています。
私はダイエットがきっかけではなく、幼少時に受けた性虐待などが原因だと今のところ診断されています。摂食障害の他にもPTSD、うつ病、解離性障害、身体表現性障害、衝動制御障害など…色んな診断名がつけられてきました。過食が始まった頃から精神的にも不安定になり、自殺未遂を繰り返した時期もありましたが、今は短時間ながら働けるところまで快復しました。
本の虫で、とにかく数だけは読んでいるので、主に摂食障害に関する本の感想などを書くことなんかで皆さんとつながっていきたいなと思っています。よろしくお願いします!詳しくはコチラ

最後に

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はじめまして。蘭と言います。1983年生まれ、現在は旦那さんと娘と息子の4人家族で神戸に住んでいます。その前までは、5年の過食嘔吐、嘔吐を辞めて完治するまで9年。全部で14年かけて摂食障害を克服しました。このサイトでは、皆の摂食障害体験を共有するアンケート、摂食障害経験者によるコラム、自由に書き込める摂食障害のための掲示板を管理しています。