摂食障害と蘭 Eating Disorder Ran

[摂食障害×世代間連鎖]加藤先生の本

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加藤先生の本

加藤諦三先生の心理学の本は、毒親育ちの人に人気があるらしい。すごくおおまかに言うと、何らかの理由で自分軸を生きれなかった人間の自分軸を気づかせる、という内容だ。私も加藤先生の本は結構読んだし、加藤先生がパーソナリティのラジオも聞いている。はっきり言って先生はわたしのお父さん的存在だ。

先生ご自身も親の抑圧に苦しんだ過去があったり、自分自身や世間との葛藤もあったらしいので、不遇な環境で苦悩して生きる人に対しては厳しく優しくわかりやすく諭してくれる。わたしは付箋と赤線と折り目でボロボロになった先生の本を今も手の届くところに置いてある。

先々月、母方の祖父母の家の買い手がついたので、弟に頼まれて家の中の片付けに駆り出された。数年ぶりの地元への帰省だった。正直、帰省の数日前は緊張と不安で眠れなかった。(余談だが、父のいない日を見計らって帰省したつもりが、運悪く最終日に鉢合わせしてしまった)

ホコリだらけの母方の生家の2階には、母が昔使っていた大きな古ぼけた本棚がある。めぼしい本はずいぶん前に拝借していたので、その本棚にはもう興味はなかったのだが、なんとそこに加藤先生の本があることに気付いた。

先生は40年程前から本を出しているので、ここにあってもおかしくはないのだが、わたしはその本を開いて思わず大きく唸ってしまった。わたしと同じように赤線をたくさん引き、折り目もたくさん付けられていたのだ!本の最後には、母の旧姓のなまえがローマ字で書かれてい た。わたしは複雑な気分だった。どう受け止めていいのかわからず、この時の気持ちは何とも形容しがたい。

「加藤先生の本を読んであのザマかよ!?」と思ったような気がする。そして「あ~やっぱり、考え方は直せなくて、加藤先生の本を何度読んでも、結局わたしもあの人と同じままなんだ。」という後向きな気持ちがどっと襲ってきた。

しかし、40年前のこの部屋で、20歳前後の母が何かに苦悩した。だから加藤先生の本を読み、一生懸命に赤線を引いたことは紛れもない事実である。そしてその後、わりと直ぐにわたしを産み、「母」になったんだと思う(あくまでこれは推測!)。「生きる」と殴り書きされていたその本をわたしは今もどう捉えればいいのかよくわからない。

ヒステリーに怒鳴り散 らし、金切り声でわたしに 迫ってくる母は一体何だったのだろう。

父に散々傷つけら れ罵倒される母を、わたしが何度庇っても「あなたのためだから」と言って寄こした母は一体何のつもりだったのだろう。
ただ、母も精一杯生きていただけなのかもしれない。いや、きっとそうなのだ。そして、わたしもそうだ。

執筆者

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きぴ、女です。

摂食障害という「魔法の杖」をつきながら、18年が経ちました。10代から摂食障害になり、自己否定感と、劣等感と、それはそれは妙な自信とで生きていました。醜態恐怖症と薬物依存症もありましたが、日々、孤独に内省することで自ら克服しました。自己否定感と劣等感にも以前よりは苛まれなくなり、現在は随分生きやすくなりました。

どちらかというと孤独をすごく愛していますが、そう格好つけて言えるのは自分は孤独ではないからです。ここで、みなさんに出会えたのは摂食障害になったおかげだと思ってます。みなさんには本当に感謝しています。橋と地図と犬とひたすら何かを考えることが好きです。詳細はコチラ

最後に

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はじめまして。蘭と言います。1983年生まれ、現在は旦那さんと娘と息子の4人家族で神戸に住んでいます。その前までは、5年の過食嘔吐、嘔吐を辞めて完治するまで9年。全部で14年かけて摂食障害を克服しました。このサイトでは、皆の摂食障害体験を共有するアンケート、摂食障害経験者によるコラム、自由に書き込める摂食障害のための掲示板を管理しています。