摂食障害と蘭 Eating Disorder Ran

[摂食障害×世代間連鎖]「お父さん」と「お母さん」と「わたし」

「摂食障害×世代間連鎖」というテーマできぴさんに連載コラムを書いていただいてます。連載の一覧はコチラ

「お父さん」と「お母さん」と「わたし」

わたしの「お父さん」はアルコール依存症とギャンブル依存症で、わたしは酒を飲んでは酔っ払った父によくぶん殴られたり蹴られたりして育った。罵声と怒号と暴力が飛びかう家の中はいつもメチャクチャだった。

そんな「お父さん」は家の外では、信じられないくらい他人に敬われ、規範意識の強い人間だった。周りの人にも「あなたのお父様は本当に立派な人だよね。わたし、目標にしてるの。」という人もいたので(今でもいるのだ、そんな奴)、わたしはうちの「お父さん」が「まともではない」ことに気が付くのが少し遅かったと思う。長い間、わたしは「うちの『お父さん』はまとも」だと思っていた。

「お母さん」と呼ばれる人のほうは、そんな「お父さん」と共依存の関係で、今でもお互いに死なない程度に、そして殺されない程度に首を絞めあっては、「素敵なご夫婦」を演じるという奇特な生活をしている。「お母さん」は体裁を取り繕うことがびっくりするくらいうまく、余所からどう見られるかがすごく大切に思えてしまう性分らしい。今では、わたしには「お母さん」が完全に思考を捨て、ただ平穏に腹を満たすことを優先する置物のようにしか見えない。

 わたしから見た、わたしの感じる「お父さん」「お母さん」という人はそんな感じだ。だから「お父さん」「お母さん」とは「良いもの」だとは思えないまま、今の「わたし」が出来上がってしまった。そのまま流 されるように「わたし」もわたし自身を「良いもの」だと思えないまま生きてきた。結婚式で両親への手紙を読んで泣いている新婦を目にしたり、「尊敬する人は両親」と言う人に出会うと、わたしは妙に置き去りにされた気分になり、その場から立ち去りたくなる。それというのも、わたしは両親への感謝が足りなさすぎるか、若しくは無いに等しいからだった。

内心バカにしていたヤンキー風の同級生が「でも、お母さんって一番こどもの気持ちを知ってるよね。お母さんには勝てないよね。」と言ったのを聞いたとき、わたしは何とも言えない敗北を感じたことがある。わたしは「は?何それ!?こいつはわたしの知らないことを知ってる!すんげーバカなくせによ!」という苦々しい気持ちと、 相手を 「こいつはバカでクソ単純!」と下に見ることで自分をほんの一時的に安心させるという、とてもとてもさもしい考え方を何度も何度もした。

執筆者

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きぴ、女です。

摂食障害という「魔法の杖」をつきながら、18年が経ちました。10代から摂食障害になり、自己否定感と、劣等感と、それはそれは妙な自信とで生きていました。醜態恐怖症と薬物依存症もありましたが、日々、孤独に内省することで自ら克服しました。自己否定感と劣等感にも以前よりは苛まれなくなり、現在は随分生きやすくなりました。

どちらかというと孤独をすごく愛していますが、そう格好つけて言えるのは自分は孤独ではないからです。ここで、みなさんに出会えたのは摂食障害になったおかげだと思ってます。みなさんには本当に感謝しています。橋と地図と犬とひたすら何かを考えることが好きです。詳細はコチラ

最後に

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はじめまして。蘭と言います。1983年生まれ、現在は旦那さんと娘と息子の4人家族で神戸に住んでいます。その前までは、5年の過食嘔吐、嘔吐を辞めて完治するまで9年。全部で14年かけて摂食障害を克服しました。このサイトでは、皆の摂食障害体験を共有するアンケート、摂食障害経験者によるコラム、自由に書き込める摂食障害のための掲示板を管理しています。