摂食障害と蘭 Eating Disorder Ran

[書評・評論]「家族という病巣」星野仁彦著

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書評

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星野仁彦『家族という病巣』セブン&アイ出版

7月に出版されたばかりの本です。下重暁子著『家族という病』の二番煎じ的なタイトルとホラーじみた表紙の写真はスルーしちゃってください。個人的にはもっと明るく前向きな装丁やタイトルで良かったと思うのだけれど。

著者は『私は発達障害のある心療内科医』などの著書のある児童精神科医。主に発達障害に関する著書の多い方で、この本も摂食障害そのものを扱ったものではありません。でも文中『摂食障害』という言葉が繰り返し出てきます。摂食障害だけではなく、発達障害やうつ病、他の精神疾患や家族関係に悩んでいる人のための本なのです。蘭ちゃんのブログにつながっている方たちの中にも、何らかの依存症や、病気ではなくても生きづらさや家族との不和など、摂食障害以外にも悩みを持った方はいらっしゃるのではないでしょうか。そんな方たちにヒントになるものが見つかるのではないかな、と思い、今回この本を選びました。

この本には二つの柱として『機能不全家族』と『発達障害』があります。
機能不全家族で育ったという環境要因や、発達障害という認知機能的要因を持つ人は、そうでない人よりもさまざまな『二次障害』をひきおこしやすいですよ、という事が述べられています。その『二次障害』のひとつに摂食障害がとりあげられているのです。因みにその他の二次障害として不登校、ひきこもり、非行、不安障害、依存症、うつ病などが挙げられています。

前半の機能不全家族の章ではダイアナ元皇太子妃や尾崎豊、後半の発達障害の章ではモーツァルトや山下清、そしてふたつの『二重奏』の章では手記出版で話題になったばかりの元少年Aやトム・クルーズなどの著名人を例にあげて、わかりやすく彼らの特性について語られています。実例に沿って説明されているのでとても理解しやすいです。特にトム・クルーズのようなある意味『成功例』を知ると、当事者も勇気づけられるだろうし、一概に悲観的になることはないのだと気づかされます。

この本でも紹介されていますが、漫画家、テレビ出演などで多才な活動をされているさかもと未明さんも著者によって44歳で発達障害の診断を受けます。さかもとさんも拒食と過食を繰り返してきました。『自分の甘えやわがままが原因で問題が起こっていたのだと考えていましたが、そうではなく、先天的な障害が自分をそうさせていたということがわか』り、『長い長いトンネルを抜け出したような気分』になったそうです。お二人の共著で去年出版された『まさか発達障害だったなんて』(PHP新書)も合わせて読むと、さらに理解が深まると思います。

とにもかくにも、摂食障害であれ発達障害であれ、どんな個性を持った人も生きやすい、東ちづるさんおっしゃるところの『まぜこぜの社会』になっていけばいいなーと思うむちむちなのでした(東ちづるさんの著書や活動もいずれご紹介したいと思っています)。

執筆者

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名前:むちむち
年齢:1979年生まれ
性別:女

16歳頃から過食が始まりました。ずっと吐かない過食でしたが、2011年の暮れ頃に吐くことを覚えてしまい、そこからは毎日過食嘔吐。ひどい時は一日4〜5回食べ吐きを繰り返していましたが、現在は一日一度に落ち着いています。
私はダイエットがきっかけではなく、幼少時に受けた性虐待などが原因だと今のところ診断されています。摂食障害の他にもPTSD、うつ病、解離性障害、身体表現性障害、衝動制御障害など…色んな診断名がつけられてきました。過食が始まった頃から精神的にも不安定になり、自殺未遂を繰り返した時期もありましたが、今は短時間ながら働けるところまで快復しました。
本の虫で、とにかく数だけは読んでいるので、主に摂食障害に関する本の感想などを書くことなんかで皆さんとつながっていきたいなと思っています。よろしくお願いします!詳しくはコチラ

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はじめまして。蘭と言います。1983年生まれ、現在は旦那さんと娘と息子の4人家族で神戸に住んでいます。その前までは、5年の過食嘔吐、嘔吐を辞めて完治するまで9年。全部で14年かけて摂食障害を克服しました。このサイトでは、皆の摂食障害体験を共有するアンケート、摂食障害経験者によるコラム、自由に書き込める摂食障害のための掲示板を管理しています。