摂食障害と蘭 Eating Disorder Ran

[書評・評論]「ウツボカズラの甘い息」柚月裕子著

摂食障害に関する書籍や映画などの書評・評論をむちむちさんに書いていただいてます。

書評

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柚月裕子著『ウツボカズラの甘い息』幻冬舎

小説や映画の中の登場人物が摂食障害を患っていると知ると、とても興味が湧きます。最近で有名なのだと映画化された『ヘルタースケルター』のりりことかでしょうか。この作品の著者は、チーム・バチスタシリーズの海堂尊などを輩出した『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した小説家(推理作家)で、まだ著作数はそれほど多くないけれど大藪春彦賞も受賞しているし、かなり実力のある作家さんだと思います。この作品も小説として純粋にとても面白く読みました。

冒頭からその生い立ちが語られる文絵も、失恋のショックから過食に走る様子などが綿密に描かれています。ただのやけ食いシーンなら割合ありふれているけれど、文絵が過食・拒食を繰り返して太っては蔑まれ、痩せてはもてはやされる様が逐一詳細に語られる流れは結構引き込まれます。周囲が分かりやすいほどに痩せ=礼讃、肥満=軽蔑の対象としているところもそうなんだよなーと頷けるし、文絵本人も痩せて綺麗になれば心も満たされるけれど太ると自信もなくし着飾る余裕もなくす、このアップダウンの繰り返しにもわかるよーと共感できます。症状が悪化して解離性離人症と診断されたりしていくのですが、著者はきっと摂食障害だけでなく精神疾患に関してもかなりしっかり取材というか勉強されたのではないかと思います。読んでいてその病態の描写について違和感を感じることは殆どなかったので。

小説自体は文絵の物語が進む一方で、ある殺人事件の捜査に当たる男女ペアの刑事のストーリーも進行していき、双方の話がリンクして最後には意外な結末が・・・と、推理もの、娯楽小説としてもかなり楽しめる内容の濃い一冊になっていると思います。読み終わった時あー面白かった、って思えたらこれほど至福の読書時間はありません。読み応えある作品に出会えたら嬉しい。この本もそんな一冊です。

執筆者

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名前:むちむち
年齢:1979年生まれ
性別:女

16歳頃から過食が始まりました。ずっと吐かない過食でしたが、2011年の暮れ頃に吐くことを覚えてしまい、そこからは毎日過食嘔吐。ひどい時は一日4〜5回食べ吐きを繰り返していましたが、現在は一日一度に落ち着いています。
私はダイエットがきっかけではなく、幼少時に受けた性虐待などが原因だと今のところ診断されています。摂食障害の他にもPTSD、うつ病、解離性障害、身体表現性障害、衝動制御障害など…色んな診断名がつけられてきました。過食が始まった頃から精神的にも不安定になり、自殺未遂を繰り返した時期もありましたが、今は短時間ながら働けるところまで快復しました。
本の虫で、とにかく数だけは読んでいるので、主に摂食障害に関する本の感想などを書くことなんかで皆さんとつながっていきたいなと思っています。よろしくお願いします!詳しくはコチラ

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はじめまして。蘭と言います。1983年生まれ、現在は旦那さんと娘と息子の4人家族で神戸に住んでいます。その前までは、5年の過食嘔吐、嘔吐を辞めて完治するまで9年。全部で14年かけて摂食障害を克服しました。このサイトでは、皆の摂食障害体験を共有するアンケート、摂食障害経験者によるコラム、自由に書き込める摂食障害のための掲示板を管理しています。